FXにおいて資金管理は最も重要な要素だ。
しかしトレード手法にばかり目が行き、肝心の資金管理が疎かになっているがために勝ち組に入れないトレーダーは非常に多い。
ここでは、FXで勝ち組になるために必要な資金管理の考え方と資金管理の具体的手法を解説する。
1. FXで稼ぐための資金管理の考え方
FXにおける資金管理は、FXトレード手法よりもはるかに重要である。FXで稼ぐためには真っ先に資金管理の考え方を理解する必要がある。
いきなりだがまず下のFXチャートを見て頂きたい。
もし今、赤色の矢印で売りエントリーで入っていて現在黄色の矢印の地点にいた場合、貴方がどのように考えて行動するかでFXの資金管理に対する姿勢が分かる。
- 『せっかく売りエントリーしたのに20pipsも逆行した。そろそろ反転するだろうから、売り増ししよう。』
- 『せっかく売りエントリーしたのに20pipsも逆行したか。仕方がない、こういうこともある。損切りに達したらまた切り替えて臨もう。これも想定内だ。』
大きく分類すればこの2種類の考え方のいずれかに当てはまるはずだ。
①の考えになった人はFX資金管理を基礎からしっかり勉強する必要がある。資金管理を怠っていることが明白であり、近々必ず退場が待っているからだ。
②の考えになった人はFX資金管理の基礎がしっかりできている。こういう人は中長期的にFXで勝ち組に入ることができる。
FXの資金管理とは簡単に言えば、『目先の個々の勝敗にはこだわらず、長期的に見てもFX軍資金が底を尽きないような資金配分をしながら自分を律してトレードをすること』である。
このFX資金管理ができるトレーダーは目先のトレードでは負けたとしても長期的に見れば勝ち組になれる。
逆にこの資金管理の考え方を持てないトレーダーは、どんなに優れた手法や自動売買EAを持っていたとしても、長期的には必ず負ける。
このFX資金管理の考え方を持っていない人がなぜ負けるか。それは、予測が外れた時の対応を全く想定しない中で目先の取引をなんとか勝ちにいくことだけを追いかけているからだ。
先ほどのチャート例に戻ろう。①の考え、つまり20pips逆行した中でさらに売り増しをしようと考えた人は、損切りラインの設定を外し、損切り無しで相場の反転を期待してナンピンを仕掛けることになる。
ナンピンとは、レートが逆行した時にさらにロット枚数を増やして逆張りトレードを続ける手法のことだ。しかし相場は反転せず上昇が続き、最後は資金が尽きて退場となる。
一方、②の考えをした人は、潔く当初の予定通りの損切りラインで損切りをして、その取引は終了となる。相場はその後さらに上昇を続けたが、被害を最小限で食い止めることができるのだ。
①の考えの最大の過ちは、負けたことのことを想定せず、損切りをせずに期待だけでナンピンを繰り返したことにある。
FXにおいて期待は厳禁なのだ。その通りになるとは限らない。そのことを認識した上で、最悪負けたとしても心が揺れることなく、また次の取引に臨める程度の軍資金しか投入してはいけないのだ。
以上がFXにおける資金管理の基本的な考え方となる。
2. FX資金管理に必要な7つの心構え
②FXではお金を単なる数字として見る
③FXトレードは感情を入れず作業として行う
④FXトレードの個々の勝敗は気にしない
⑤FXトレードでは必ず損切りを入れる
⑥損切りは切られても心が揺れない金額で行う
⑦20連敗までは想定しておく
FXで資金管理をするために絶対に必要な7つの心構えをお伝えする。
この7つを肝に銘じてFXトレードに取り組めば資金管理することができ、FXで勝ち組に近づくことができる。
逆にこれらの心構えを持たずにトレードを続ければ、すなわち資金管理せずにFXトレードを続ければ、待っているのは退場だけである。
2-1. FX を投資として考える
FX資金管理をする上で最も基礎になる考え方が、FXをギャンブルではなく投資として考えるということだ。
投資とは、繰り返しそれを続けていれば長期的に見れば利益を積み重ねることができる行為のことである。つまり資金管理ができていないと投資=FXなどできるはずもないのだ。
FXトレードにおいては『レートが上がってきたからそろそろ売りたい』『雰囲気的に下値が堅そうだから買おう』等のように、明確な目的や論拠なく漫然とトレードをする人が非常に多い。
しかし根拠のないトレードをしていればいつまで経っても利益は出ない。もちろんたまたま勝てることはあるし一時的にプラスになることはあっても、長期的には絶対に勝てない。
相場状況を見てインジケーター等を使っていいので勝率の高い局面でだけエントリーすることをまず徹底する必要がある。
自分の必勝パターンに当てはまるときだけ勝負するのだ。こうすることで自然と収益バランスが取れるようになる。
よく分からない局面でトレードするのは投資ではなく、ただのギャンブルである。
まずは投資という思考を持ち、勝負すべき局面だけ勝負することこそが、FXにおける資金管理では非常に重要となる。
2-2. FXではお金を単なる数字として見る
FXトレードをしていて勝ったときに『10万勝って儲かった』と喜んではいけない。なぜなら、感情がその後のトレードを狂わせてしまうからだ。
例えば『10万円買ったらリッチに外食できる』『このトレードで10万円負けたら車のローンを返済できない』等と考えながらトレードをしていたら、含み損をかかえた時に絶対に損切りができなくなるからだ。
損切りができなくなることは、資金管理ができなくなることを意味する。
FXチャート上に出ている資金額はあくまで数字として割り切って見なければならない。
数字が動いているだけであり、お金として見てはならない。厳格な資金管理のもと、正しいトレードを貫くためだ。
2-3. FXトレードは感情を入れず作業として行う
心が揺れるようなギャンブル的トレードは絶対にしてはならない。
ギャンブルトレードを繰り返していると、一攫千金を狙ってそのトレードに全資金を投入することにつながりかねないのだ。
そうなるとFXの資金管理は完全に崩壊する。
『今日負けた分は今日のうちに取り返したい』という考えも絶対に厳禁だ。
負けた分を取り返そうという感情は必ずトレードを狂わせる。感情が入ると損切りができなくなるのだ。
損切りができないと資金管理は破綻し、退場することとなる。
資金管理の基本である損切りをしっかり行うためにも、感情を入れず作業としてトレードを行うことが重要だ。
2-4. FXトレードの個々の勝敗は気にしない
目先の1勝にこだわってはならない。個々のトレード結果は気にせず、トータルで見て勝てればよいという割り切りを持ってトレードしなければならない。
いかに優秀なインジケーターを使っていても、負ける時は必ずある。その1敗を引きずってはならない。勝ち負けを繰り返しながらそれらが積み重なった時に、トータルで勝てていればいいのだ。
目先の1勝を気にし始めると『このトレードで何が何でも勝たなければならない』となり、負けられない状態になるので必然的に損切りができなくなる。それは資金管理の崩壊を意味する。
トータルで勝てばよいという思考はFXにおける資金管理の大原則であり、個々のトレード結果は気にしなくてよいし、気にしてはならない。
2-5. FXトレードでは必ず損切りを入れる
FX相場から退場する人の大半は損切りができないために資金を失って退場している。損切りができないことは資金管理において致命的であり、絶対に避けなければならない。
資金管理を徹底するために、損切りラインを必ず入れる。そのためには、トレードしながら損切り設定するのではなく、必ずエントリー段階で損切り設定しておく、つまり逆指値注文を入れておくということが必須となる。
そしてトレード中に相場が逆行して損切りに近づいてきても絶対に損切り設定を触ってはならない。レートが損切りにかかってしまってもよいのだ。
そのトレードでは負けたとしても、損切りしないことによる大敗を防げたので、資金を守ることができたわけであり、その守れた資金を次のトレードに使えばいいだけのことなのだ。
損切りこそ資金管理の生命線であることを肝に銘じておく必要がある。
2-6. 損切りは切られても心が揺れない金額で行う
FX資金管理をしていく中では、損切りの金額も重要となる。目安としては、1回の取引でその金額を失っても心が揺れないレベルの金額に設定する。
心が揺れないレベルの金額は個人差がある。
例えば2千円失っただけでも痛いという人もいれば、1万円ぐらいであれば何とも思わないという人もいる。この個人差はどこから出るかと言うとそれは資金力の差による。
軍資金が1,000万円の人から見れば1万円失ったぐらいでは総資金の0.1%を失っただけであり痛くも何ともない。
しかし軍資金が2万円の人が1万円を失えば、1回の取引で半分の軍資金がなくなったことになり大打撃となる。
軍資金の規模は個人差があるので金額では明確に言えないが、失ってよいのは、勝率がよほど高くない限りは、目安としては1回の取引で総軍資金の5%までである。
5%でも心が揺れる人はもっと比率を下げて2~3%で設定しておく。この比率目安については後ほど詳しく説明する。
肝心なことは、損切りに遭った場合も心が揺れないということである。そうすることで損切りへの抵抗感はなくなり、ひいては資金管理の徹底にもつながるのだ。
2-7. 20連敗までは想定しておく
実際に20連敗などはそう起こることではないが、FXトレードの際には20連敗することまで想定しておく。
20連敗しても耐えられうる資金管理となると、やはり先述のように1回の取引での損切り金額は総軍資金の5%以内に抑えておく必要がある。
5%以内にまで抑えておけば20連敗までは耐えられる計算となる。
最悪のパターンまで想定した資金配分の中でトレードすることが重要である。
実際にはそこまで最悪のパターンになることはほぼないが、そこまで想定しておくこと自体が個々のトレードに余裕を生み、心地よく損切りもでき、資金管理がスムーズにできることにつながるのだ。
3. FX資金管理で必要な具体的な5つのステップ
②勝率に応じて総資金に対する損切り比率を仮決定する
③損切り金額を最終決定する
④決定した損切り金額で実際にトレードする
⑤FXトレードでは必ず損切りを入れる
FXにおける資金管理の具体的手法を5つのステップに分けて解説する。このステップを踏めば、正しい資金管理ができるようになる。
3-1. FXトレード記録をつけて勝率を把握する
まずFX資金管理において重要なのは、自らのFXトレード手法がどの程度の勝率を持っているのか把握することだ。そのためにはトレード記録をつける必要がある。
FXのトレード記録と言ってもそんな大層なものではなく、最低限、取引ルールと勝敗が分かればよい。
例えば『1時間足の平均移動線20EMAをタッチしたら買い、割りこんだら売り』という自身の取引ルールを持っていたとする。
それを繰り返し行ったときに、おおよそでいいので勝率がどのぐらいあるかを、トレード記録をつけて割り出すのだ。
ある程度の勝率を把握する必要があるので、データ数は300件程度は欲しい。それらをエクセル等で記録として残し、勝率を弾き出して頂きたい。
そうすると、この手法なら勝率は60%ぐらいだ、といった具合におおよその勝率目安を把握することができるはずだ。
FXで資金管理をするためには適切な損切り額を設定する必要があり、そのためには1回の取引でどの程度の勝率があるかを知っておく必要がある。その目的のためにトレード記録をつけるとご理解頂きたい。
3-2. 勝率に応じて総資金に対する損切り比率を仮決定する
自身のFXトレード手法のおおよその勝率が把握できたら、次は損切り比率を決めていく。
ここでは、損切り比率とは総資金に対して1回の取引で失う金額の比率のことを指すこととする。
例えば10万円の総資金があって1回の取引で5千円失うような損切りであれば、損切り比率は5%ということになる。
資金管理においては損切り比率が極めて重要となる。資金がパンクしないような比率にしておかなければ、すぐに退場することになるからだ。
損切り比率は、トレード手法の勝率によって変化する。勝率が高いトレード手法であれば連敗する確率は少ないので、損切り比率は高めに設定できる。
逆に勝率が低いトレード手法であれば大型連敗のリスクがあるので、損切り比率を低めに設定する必要がある。
勝率によって、投入資金の強弱をつけることが、FXで長期的・安定的に稼ぐための肝となる。勝率の高い手法を持っているならば、強気で勝負することも重要だ。稼げる時に稼ぐというのが鉄則である。
では、どのぐらいの勝率に対してどのぐらいの損切り比率に設定するべきか、その目安を記しておく。
- 勝率50% → 2%
- 勝率60% → 3%
- 勝率70% → 4~5%
- 勝率80% → 5~8%
- 勝率90% → 8~10%
これが損切り比率のギリギリのラインである。これ以上比率を高めると、大きな連敗がきた時に資金やメンタルが耐えられなくなるリスクがある。
上記の範囲内に収めておけば、少なくとも資金がパンクすることは、まず無い。
例えば③の勝率70%だとした場合、1回目負ける確率は30%。2連敗する確率は9%、3連敗する確率は約3%、4連敗する確率は約1%だ。
つまり、確率的には100回取引すれば1回は4連敗する。
仮に4連敗しても、適正な資金管理によって損切り比率を5%にしていれば、5%×4連敗=20%の損失で済む。総資金の80%は守られるのだ。
100回に1回の確率が運悪く来てしまっても、十分に資金は守られる。これこそが資金管理というわけだ。
以上、勝率によって損切り比率を決定するわけだが、これは仮決定である。
FXの資金管理をする上では比率だけでなく、最終的には実際の損失金額も見ていかなければならないからだ。
3-3. 1回の取引での損失金額を最終決定する
損切り比率を仮決定できれば、あとは実際の損切り金額を計算するだけだ。例えば10万円軍資金で勝率60%手法を使ったとすれば損切り比率は3%なので、1回の取引で失う損失金額は3千円だ。
資金管理の観点から見て適正かつ妥当な損切り比率によって計算された金額が3千円である。あとは、これをどう感じるか、個人の感覚的部分になってくる。
1回の取引で3千円失うことで心が動くようであれば、もう少し金額自体を落とさなければならない。2千円なら心が動かないのであれば、2千円を損失金額として最終決定する。
ちなみに、損失金額を落とすことはOKだが、逆に上げることは厳禁だ。勝率が60%にも関わらず『5千円までなら痛くもかゆくもないから損失金額を5千円にしよう』としてはいけない、ということだ。
1回の取引での損失金額は、勝率に見合った分相応の損切り比率『以下』の金額に設定しなければならない。このことを肝に銘じておく必要がある。
3-4. 決定した損切り金額で実際にトレードする
ここまでの資金管理プロセスによって、適正な損切り金額を弾き出すことができたならば、次は実際に、決定した損切り金額になるようなロット数でFXトレードをして頂きたい。
机上の空論ではなく、実際にその設定でトレードすることで、何回取引を積み重ねても、総資金がそうそう減らないことに気付いて頂けるはずだ。
減らない総資金が、いかにFXにおける資金管理が重要かを物語ってくれるのだ。
たしかに、ギャンブルトレードと比べると1回あたりの利益金額も小さくはなる。
しかし、1回あたりの利益は小さくてもよいのだ。それを積み重ねて、数か月、1年という長期スパンで見たときに、着実に利益が増えていることのほうがあるかに重要だからだ。
3-5. トレードを振り返り必要があれば微修正する
損切り金額を決定して資金管理ができた上で実際にトレードをやった後には、必ず振り返りを行って頂きたい。この振り返りは非常に重要である。
やったらやりっ放しではなく、トレードをやった後にしっかりルール通りトレードできたかの反省をしなければならない。
もし、損切り金額を設定していたにも関わらず、トレード中にナンピンをしてしまって損切りができなかったならば、それは資金管理がまだできていない証拠となる。
損切りはできたものの、損切りの設定を触ってしまって当初の予定より早く損切りをしてしまったならば、それもまた失敗である。
損失金額が少なくて済んだ、という問題ではなく、ルールを守れなかったという点で失敗なのだ。
FXにおいては、ルールを守れていれば成功であり、ルールを破ってしまったら失敗である。ルールを破るということは、資金管理の崩壊につながるのだ。
もしルールを守れなかった場合は『なぜルールを守れなかったか』を自分なりに振り返らなければならない。
その要因の多くは、欲望である。連勝が続いた時につい損切り基準を甘くしてしまったり、連敗した時に焦って損切りをせずナンピンを繰り返したりするパターンが多いのだ。
そういう時には、ぜひ冷静さを取り戻して頂きたい。何のFXをやっているのか。それはお金を稼ぐためだ。スリルを味わうためではない。
まとめ
『FXでお金を稼ぐ』とは、『お金によってお金を稼ぐこと』だ。その元手になるお金つまり軍資金は非常に大切なものであり、
厳格な資金管理のもとでその軍資金を守り続けることが、長期的に見てFXで勝ち組になり、FXの世界に残り続けることへとつながる。
FXにおける資金管理の重要性は絶対に忘れずにトレードに取り組んで頂きたいし、ここで解説した資金管理術・資金管理手法を活かして、1人でも多くの人がFXで勝ち組になって頂ければ幸いである。